2006.11.05

綿矢りさの新作「夢を与える」を読み終えた。いやあ、びっくり。こういうことに年齢は関係ないと思うので、彼女の若さについては特に触れようとは思わないが、やはり才能というのはあるところにはあるものなのだ。これが芥川賞受賞第一作ということなので、単純な計算をするとこれを3年ほどかけて書いたとも言えるけど、原稿用紙500枚分の長編には、それを納得させる文章が隙間なく詰まってた。読み終えての妙な充実感はもちろんで、この何日間はこの小説に僕自身がのめり込んでいたことに、今気がついた。

僕という人間はある意味、意外に嫉妬深くて、飛び抜けたセンスを持つ人が好きだと言いながら、実はその人に嫉妬している。
綿矢りさにも嫉妬する。もちろんビートルズにも嫉妬する。ボナールにも、ピカソにも、アルバート・キングにも、笑福亭鶴瓶にも、関根勤にも、村上龍にも嫉妬する。
逆に言えば、あまり小さな才能には興味を持っていないみたいなので、ちょっと遠くを見過ぎか、とも思うが。

子供の頃「この人は大器晩成だ」と言われたことがあるが、たしかに早熟ではなかった。それなら「晩」っていつのこと?「大器」かどうかはこれからわかるのか?

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