2007.03.09(後半)

前半からの続き

僕の楽器はどれも二十年選手で、かなりガタが来ている。四枚のシンバルはハニビ後期にピークを迎え、その後は音が劣化してきてる。バスドラのペダルは無惨なほどクタクタで使うのに苦労する上に雑音も酷い。金属部品が磨り減ってしまっているのだ。そんな状態なのに新調しないのは辞める覚悟があるからで、シンバルもペダルも今後新たに買おうとは思わない。要するに、今後このような仕事をこのような形でする気はないという意味。音がこなれるのに時間がかかるシンバルのような楽器は、相当に使い込まなければ本来の能力を発揮せずに終わる可能性が高く、かなり不憫だし、ペダルはもう他のじゃ出来ないほど足に馴染んでる。ま、僕は本来ドラマーじゃない(だからドラム係なのだが)ので、仕事を離れたらドラムを叩く理由もないわけでね。とにかくシンバルが1枚割れたらもう辞めるつもりだった。長年一緒にやってきた愛着ある楽器が壊れる前に辞められるのは、それも僕にとっては小さな幸せなのだ。あ、僕の能力やキャラクターを理解したうえで、呼んでくれる人がいるなら出し惜しみはしないよ。でも週に何日も演奏する生活はもうないな。

そしていつも思うのはお客さんのことで、僕にはそれが一番重い。今まで散々「辞めないでくださいね」とか言われて来た。コータローさんが辞めてからはさらに増えて、そんなに言われたら辞められへんやん、と思ってた。結局踏ん切りがつけられない理由はそこにあったかも知れない。そういえばハニビのお客さん達の中には、僕とリョウタが一緒にやってるのを「ハニビの最後の砦」みたいに考えてる人達がかなり多いと最近気付いた。その根強さには驚くし、本当にありがたいとも思う。でも、実際にはハニビはずいぶん前に“跡形もなく”消滅してるんやけど。本当にいいお客さんたちに恵まれたと思うけど、それは僕が今まで一生懸命やって来たことの成果でもあるわけだし、だから誇りでもある。辞めてもお客さん達と絶縁したくないというのは虫がよすぎるだろか。僕を絶賛してくれた人達には特に申し訳ないね。そういえば「普通あんなこと出来ませんよね」と言った人がいた。あの人はいったい僕の何を見たんやろか。はは。僕はただビートルズを人より少し知っているというだけだ。今月末までに、出来るだけ多くのお客さんと会いたい。

あ、それはそうとウチのザリガニが行方不明だ。水槽は深いうえにフタもしてあるので、出られるはずもないのに、どこにも見あたらない。しかも、家族の誰もが関心さえ見せない。いったいどうなっちょるのか。

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