2008.09.08

昨日はひさびさにキャバーンで演奏した。ここはかつて僕の仕事場だったわけで、しかも楽器は閉店したロンタンの遺物たちだ。リハの途中、楽器にトラブルが発生した間に、ちょっと客席のソファに座ってみると、自分でも意外なほどにいろんなことを思いだした。この席で誰とどんな話をしたとか、その横の席には誰が座ってたとか、誰が初めて来たときには向こうの壁際に座ってたとか、この後ろの席の人には印象的な言葉をもらったとか、変に感慨深いとかそんなんでもなく、ただ淡々と思いだした。記憶をたどり始めるとキリがなくて、本当にいろんなことがあった場所だと気がつく。なにせ僕のキャバーンの最初の記憶は、20年を超える過去のものだ。

客席は満員で妙な熱気あり。やはり大勢の前で演奏できることは喜びで、これが次に繋がればと願う。この日のお客さんのほぼ半数は、僕らを初めて見る人達だったはずだが、そんな人達が帰り際、興奮気味に「すっごく良かったです」とか「次は○○○をしてくださいね」などと言葉を残してくれるので、僕としても良い仕事が出来たのかもとは思えた。しかしなんであんなに汗が出るんでしょう。最近かなり水分を意識して摂ってるがそのせいか。とにかく疲れすぎた。ステージ終わって楽屋でぐったりしてる間に、挨拶したかったお客さん達は帰っちゃった。年齢ですかね。

文芸誌の発売日が過ぎたので本屋へ。今月は「群像」だけを買うことにして、音楽誌をちょっとのぞいてみると、某有名誌の裏表紙に故デニス・ウイルソンの廃盤になったソロアルバムが再編集で再発とあった。彼にはリリースされたアルバムが1枚と、リリースを見送られたアルバム1枚分の完成間近だった録音が残っていて、僕は前者を何年も探し続けて、やっとある図書館で見つけたものを借りてジャケットまで完璧にコピー制作し、また、後者はネットオークションでブートレグを見つけて買ったが、今回発売されたものには、ブートレグにも収録されてないものが多数入っているとか。はっきり言って僕はこの数年、CDなんて1枚も買ってないが、これだけは全く迷う余地が無い。ちょうど本屋の2階がメディアショップなので即上へ行き購入、と言いたかったが、やはり予想通りない、というより仕入れてくれてない。たぶん大きな店でないと無理だな。僕は本でも何でもこういうことが多い。ま、とにかくこれだけは買わないわけにはいかない。デニス・ウイルソンは本当に価値のある才能のひとつだと思ってる。

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