2010.12.4

Kは生まれた直後から、会う人会う人に「かわいい、かわいい」と本当にチヤホヤされて来た。「かわいい」と言いながら実は驚愕している、という人がときどき混じる。それくらい「かわいい」と言われ続けながら育ったので、チヤホヤされ過ぎで、性格がおかしくなっちゃうんじゃないかと、心配したぐらいだったが、当の本人は「自分はよくかわいいと言われる」とはっきり自覚しながら、まったく気にもかけないという、これまたおかしなやつだった。そんな彼も、前歯が生え変わった時点でイメージが変わり「かわいい」などとは言われなくなったが、年齢的なものもあったのかも。攻撃的な部分とマイナスの思考をほぼ持たないという、ちょっと珍しいキャラクターは、どこへ行っても必ず友達を作って来るし、あちこちで物をもらったり、高価なものを拾ったり、福引きみたいなものでは必ず何か当てたりと、不思議な運も持っている。

昨夜、Kは翌日に迫ったクリスマスマーケットについて「売れるかなあ」とめずらしく弱気なことを吐いた。「さあな」「大失敗っていうこともあるよな」常に良いことしか考えない性格が、このときは少し揺らいでいた。「そうやとしても、それはそれやな」と僕。「うん」このあたりの受け取り方はいつも通り。
彼は、作った折り紙が芸術協会長の目に留まり、急遽マーケットに参加することになっていた。僕は、とにかく自分の力でやり尽くし、経験することのみが彼の大きなステップになると思っていた。
見守るしかない。

で、フタを開けてみればこれがとんでもない大好評。Kは売りながらも新しいのを作り続けたが、一時は商品が足りなくなるかというところまで来た。彼はもうホクホクだ。そこまで折り紙というものが、デンマークの人たちに興味を持ってもらえたということも意外だった。だって日本ではあったりまえのモノだもん。Kの学校の先生や、Tの幼稚園の先生まで来て、みんなそれぞれ買ってくれ、さらに新しい「鶴」を10羽折って月曜日に学校へ持っていくことに。こういうことがなにか新しい体験や挑戦に繋がらないかと、常に期待しながらバックアップして来たが、今日は、前から好きだった折り紙を披露することで、本当に明らかな新しい成果を得た日になった。蛇足だが、売り上げは約400クローネ。75個ほど売れた計算らしい。日本円で約6,000円。中学一年生は笑いが止まらんはずだわ。

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