2008.06.20

昨夜の淀んだ気象の中、もう十数年も訪ねていない先生のお宅に向けて、記憶をたどりながら京都の街を車で走ったが、思った以上に街は変わっていて、でもその中から、記憶通りのものを見つけるのがなんとなく楽しくて、たどり着いた先生の家が昔と何も変わっていないことも確認して、ちょっといい気分になっていた。

その宇多野という場所は、豪邸が立ち並ぶ高級住宅地だが、古い土地らしく道が極端に狭くて、そこを車で通ったり、駐車場に入れたりするのがまた少し大変だったりするのだが、そんなこともなんとなく楽しみながら、やっぱり何も変わっていないと何度も確認した。

先生の長男が喪主を務め、次男がお経を読む。先輩や同級生が2〜30人は来ていたか。僕は以前、一人でここを訪ねたとき、次男の龍哉さんが楽しみにしていたという珍しい酒を、先生と二人で飲み干してしまったことを実は今でも気にしている。

お棺をのぞかせてもらうと、先生は生きているときと何も変わっていなかった。髪のない頭と長いひげとつるっとした額。ただ動かないだけだった。

みんなが数珠を持って座っているこの場所は、学生時代、僕らが朝まで馬鹿騒ぎをして雑魚寝をした、そんな場所であり、先生は自宅をそういう場所として提供してくれた。先生だけでなくそのご家族にも大変お世話になったわけだが、最近はやっぱり疎遠になっていた。それがこれから、どうしたってさらに縁遠くなるのも避けられないと思う。記憶のすばらしさが薄れることはないけどね。僕らはそんな先生に何かお返しが出来たのだろか、とは思う。

実は既にお中元の手続きをしてしまっていて、このままだと7月初めには先生宛にお菓子が送られてしまうのだ。こりゃまたどうしたものか。

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